ディスカッションペーパー

子どもの数と質(QQ)のトレードオフは母の教育水準に依存するか

DP番号 DP2025-004
言語 英語のみ
発行年月 October, 2025
著者 暮石渉、若林緑、マッケンジー コリン、坂田圭
JELコード I21; J13; J62
キーワード 子どもの数と質のトレードオフ; 教育競争; 高校の偏差値
ダウンロード PDF
要旨

本研究は、日本における子どもの質と量に関するトレードオフ仮説(すなわちquantity–quality(QQ)仮説)を検証し、特に母親の教育水準が家庭内の教育資源配分と第1子の教育成果に果たす役割を明らかにすることを目的とする。分析には、厚生労働省および文部科学省が提供する「21世紀出生児縦断調査(2001年出生児、2001~2017年)(LSN21)」を用い、第2子出産時の双子発生を家族規模の外生的変動として利用した2段階最小二乗法(2SLS)により推定を行った。

分析結果によれば、QQトレードオフの大きさは母親の教育水準および世帯所得によって異なる。特に、高学歴の母親をもつ低所得世帯では、きょうだい数の増加が第1子の「質」(高校偏差値スコアで測定)を有意に低下させることが明らかとなった。この低下は、塾など学校外教育への支出の顕著な減少を伴っている。一方、母親が大学教育を受けていない世帯や高所得世帯では、有意な低下は確認されなかった。