東日本大震災に関する特別調査の概要
調査の目的
本調査は、2011 年3 月11 日以降の家計行動を把握することで、東日本大震災や原発事故が日本全国の家計に与えた影響を明らかにし、社会科学の観点から多角的な研究を進め、今後の復興や防災に関する施策の立案や学術的な発展に資することを目的としている。
東日本大震災は、その直接的な被害や人的・経済的損失の甚大さはもとより、地震や津波の範囲の広さや原発事故の長期化、全国的な節電の実施もあって、日本全国の家計や企業の行動に直接的あるいは間接的な影響を与えた。本調査は、震災前から震災直後、さらには節電を経験した後の2011年秋頃までの家計行動の変化を同一家計に追跡調査して明らかにするもので、第1 回調査(2011 年6 月実施)と第2 回調査(2011 年10 月実施)の2 回からなる。
調査事項
震災時の状況(場所、帰宅状況など)、被災状況(本人・友人・親類の被災の有無、住居・職場の被災の有無)、被災地支援の状況(ボランティア、募金など)、価値観(生活優先度、幸福感、宗教観など)、心理状況(恐怖心・不安感など)、健康状態(健康感、ストレス症状)、生活時間(睡眠時間、家事・育児時間など)、就業状態(賃金、労働時間、雇用形態など)、消費(消費支出、買い溜め・買い控えなど)、資産・住宅(地震保険、資産価値など)など。
調査対象・方法
慶應義塾パネルデータ設計・解析センターが毎年実施している2 つの家計パネル調査(『慶應義塾家計パネル調査(KHPS)』・『日本家計パネル調査(JHPS)』)に回答している全国約6,000 世帯に対して調査票を郵送し、第1 回調査では4,150 世帯から回答を得た(有効回答率68.1%)。また、第2 回調査では、第1 回調査回答者世帯に対して再度調査票を郵送し、3,591 世帯から回答を得た(有効回答率85.1%)。
なお、KHPS(2004 年から毎年実施)・JHPS(2009 年から毎年実施)の調査対象は、調査開始時点で満20~69 歳(JHPS は満20 歳以上)の全国の男女から層化2 段抽出法(地域と個人)により選定し、毎年合計で6000~7000 程度の世帯から継続的な協力を得ている。