新規開業パネル調査の概要
(日本政策金融公庫総合研究所より寄託)
調査の目的
新規開業が果たす経済的、社会的役割は広く認識されるようになっており、創業支援は日本の中小企業政策の柱の一つとなっています。日本政策金融公庫は政策金融機関として新規開業企業に対する融資に力を入れており、効果的な支援のために新規開業の実態を把握するためにさまざまな調査・研究を行ってきました。
開業後の数年間に企業は大きく変化すると考えられています。このような変化を正確にそして詳細に把握するためには調査対象を固定して追跡するパネル調査が必要です。しかし、これまで日本では新規開業企業を対象とするパネル調査は実施されてきませんでした。本調査は、新規に開業した企業を継続的に追跡することで、開業後の企業の動態や新規開業企業が果たしている経済的、社会的役割などを明らかにすることを目的としています。第1コホートは2001年に開業した企業、第2コホートは2006年に開業した企業、第3コホートは2011年に開業した企業、第4コホートは2016年に開業した企業を対象としています。
調査項目
本調査では年1回、計5回のアンケートを第1コホートでは2001年以降、第2コホートでは2006年以降、第3コホートでは2011年以降、第4コホートでは2016年以降行っており、各年末における事業の現況、業績、従業者、借入状況、今後の経営方針などについて尋ねています。加えて、開業直後に行われた第1回アンケートには、事業の概要、経営者の属性、開業の経緯、開業費用とその調達など、開業前および開業時点に関する質問が含まれています。
調査時期・方法
第1コホートは2001年以降、第2コホートは2006年以降、第3コホートは2011年以降、第4コホートは2016年以降、それぞれ毎年12月を調査時点とし、継続調査先にアンケートを郵送しています。 各調査のアンケート回答数は以下のとおりです。
第1コホート
回答件数(%) | |
---|---|
第1回調査(2001) | 2,181(100.0%) |
第2回調査(2002) | 1,768(81.1%) |
第3回調査(2003) | 1,388(63.6%) |
第4回調査(2004) | 1,319(60.5%) |
第5回調査(2005) | 1,175(53.9%) |
第2コホート
回答件数(%) | |
---|---|
第1回調査(2006) | 2,897(100.0%) |
第2回調査(2007) | 1,693(58.4%) |
第3回調査(2008) | 1,554(53.6%) |
第4回調査(2009) | 1,408(48.6%) |
第5回調査(2010) | 1,359(46.9%) |
第3コホート
回答件数(%) | |
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第1回調査(2011) | 3,046(100.0%) |
第2回調査(2012) | 1,787(58.7%) |
第3回調査(2013) | 1,472(48.3%) |
第4回調査(2014) | 1,380(45.3%) |
第5回調査(2015) | 1,413(46.4%) |
(注)アンケートで「現在事業を行っていない」と回答した企業は回答数から除いた。
第4コホート
回答件数(%) | |
---|---|
第1回調査(2016) | 3,517(100.0%) |
第2回調査(2017) | 2,104(59.8%) |
第3回調査(2018) | 1,962(55.8%) |
第4回調査(2019) | 1,950(55.4%) |
第5回調査(2020) | 1,877(53.4%) |
(注)アンケートで「すでにやめている」と回答した企業は回答数から除いている。
廃業の認定
本調査においては以下の企業を廃業と認定しています。
- 事業の継続を尋ねたアンケートの質問に、「現在事業を行っていない」(第4コホートでは「すでにやめている」)と回答した企業
- 現地調査等によって事業を行っていないことを確認した企業
- 日本政策金融公庫の支店が事業を行っていないことを確認した企業