ディスカッションペーパー

日本家計パネル調査の標本設計と代表性

DP番号 DP-2009-004
言語 日本語のみ
発行年月 March, 2010
著者 直井 道生・山本 耕資
JELコード C81, C83
キーワード パネル調査、標本設計、代表性
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要旨

本稿では、日本家計パネル調査(JHPS) の第1 回調査について、標本設計と調査手法につ
いての解説を行い、その回収状況および回収された標本特性について、他調査との比較を
通じて検討した。調査の回収率については、類似の調査手法に基づいて実施された慶應義
塾家計パネル調査と比較して、約2~8% ポイントの改善がみられた。このような改善の背
景としては、(a) 対象者との接触状況(接触率)の改善、(b) 調査依頼を受けた対象者の
協力意向(協力率)の改善、の双方が寄与していることが示唆された。この要因として、
JHPS2009 で導入された調査方法における各種の実験的試みなどが考えられる。一方
JHPS2009の標本特性については、回答者の社会経済的属性について、国勢調査等の公表統
計との比較を行った。その結果、設問形式や調査時期に違いがある場合を除き、JHPS にお
ける対象者の社会経済的属性は、他の公表統計と似通った分布を示し、JHPS の標本がおお
よそ適切に母集団を代表していることが示唆された。ただし、高齢者や単身世帯の構成比、
居住形態などの一部の属性に関しては、対象者の回答行動の違いを反映して、母集団から
の乖離が生じている可能性がある。したがって、これらの属性を対象とした分析を行う際
には、結果の解釈に留意する必要がある。