ディスカッションペーパー

職場環境と精神健康、離職意向との関連

DP番号 DP-2009-007
言語 日本語のみ
発行年月 March, 2010
著者 佐藤 みほ
JELコード
キーワード 職場環境、離職意向、精神健康、仕事の充実度・満足度
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要旨

2009年度日本家計パネル調査(JHPS)のデータを用いて、就業者(20歳~65歳;男性1366名、
女性1007名)を対象に、離職意向への影響要因と考えられる精神健康に関連する要因につい
て、職場環境の変化、仕事の充実度・満足度の変化に着眼し、検討を行い、さらに現在の
仕事の継続意向の程度と精神健康との関連性について確認した。解析の結果、仕事内容、
自宅に持ち帰って行う仕事量、仕事の責任、職場の上司、同僚との関係について、負荷を
高める変化ありの群が変化なしの群、あるいは負荷を低減する変化ありの群に比して、心
身症状が良好ではなかった。また、心身症状を悪化させる職場環境の変化は、仕事内容の
変化、職場の上司との関係の悪化であり、仕事の充実度・満足度の低下も心身症状を悪化
させる要因であることが示された。さらに、現在の仕事の継続意向を示さないことと関連
する職場環境の変化は、自宅で行う仕事量の増加、職場の上司との関係の悪化であった。
仕事の充実度・満足度の低下は、現在の仕事の継続意向を示さないことに関連しており、
仕事の充実度・満足度の高まりは、現在の仕事の継続意向を示していることと関連してい
た。心身症状が良好でないことも、現在の仕事の継続意向を示さないことに関連を有する
ことが示された。以上より、就業者の精神健康の維持・増進、ならびに離職意向の低減を
行う上で、職場の上司との関係性、仕事の充実度・満足度が影響する可能性が示唆された。