ディスカッションペーパー

肥満と家計行動の再検討

DP番号 DP-2009-009
言語 日本語のみ
発行年月 March, 2010
著者 上村 一樹・野田 顕彦
JELコード D03; I10
キーワード 肥満、行動バイアス、時間選好率、危険回避度
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要旨

近年わが国においても、肥満者割合の増加を受け、その要因に関する研究が盛んに
なっている。しかし、先行研究においては、個人の行動バイアスに焦点を当てた分析
が主であり、食料品価格のような外生的な要因が与える影響は考慮されていない。
本稿では、日本家計パネル調査(JHPS) を用いて、食料品価格と個人の行動バイ
アスを共に考慮した上で、肥満であるかどうかの決定要因についての実証分析を行っ
た。その結果、大きく以下の3 点が明らかになった。
第一に、時間選好率の高い個人は肥満あるいは重度の肥満になる確率が高まる。
第二に、食料品価格の上昇は、個人が肥満あるいはやせ型である確率を低下させる。
第三に、行動バイアス、より具体的には時間選好率をコントロールするかどうか
で、食料品価格が肥満であるかどうかに与える影響は大きく異なる。
以上の結果より、肥満であるかどうかの要因分析を行う際には、食料品価格のよう
な外生的な要因と、時間選好率のような行動バイアスを同時にコントロールするこ
とが望ましいと考えられる。