ディスカッションペーパー

家計支出の《分解》:1人あたりの支出額と《規模の経済》

DP番号 DP-2010-001
言語 日本語のみ
発行年月 November, 2010
著者 山本 耕資
JELコード
キーワード
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要旨

どのような世帯がどの程度支出するのかを、「分解」という作業によって明らかにす
る。より具体的には、世帯構成員の年齢、就学状況、要介護状況、世帯の住居種別など、
世帯構成員あるいは世帯の属性別の、基本的な支出額を推定する。また、世帯人数が支
出額にもたらす「規模の経済」状の効果を考慮する。その結果、以下の点が明らかとな
る。(1)1人あたりの基本的な支出額は、おおよそ150,000~190,000円程度であるが、0
~10歳台前半ではその額が小さいのに対し、10歳台後半になるとその額は顕著に大きく
なる。(2)世帯人数が2人以上の場合、1人世帯で生活する場合と比べて、支出額は世帯
人数が1人増えるごとにおおよそ120,000~140,000円程度小さくなる。(3)賃貸住宅に住
む世帯、大学生がいる世帯、要介護者がいる世帯で、有意な正の追加的支出が存在する。
他方で、例えば高校生がいる世帯での追加的支出は確認されない。これらの結果は、家
計を支援するような公的給付などの政策について検討するための基礎資料となりうる。
子育てや介護に伴う支出の多さは、「年功型」の支出構造を示唆する。補遺において、
家計支出額は世帯人数の0.380乗に比例すると見なせることを示す。