ディスカッションペーパー

景気変動と有配偶女性の就業行動に関するイベントヒストリー分析―追加就業効果と就業意欲喪失効果の視点からー

DP番号 DP-2010-008
言語 日本語のみ
発行年月 March, 2011
著者 深堀 遼太郎
JELコード
キーワード
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要旨

本稿では、近年の有配偶女性の非労働力化および労働力化という就業行動の変化を、リ
ーマンショック後も含む景気後退局面と関連させながら、イベントヒストリー分析の手法
を用いて分析した。その結果、妻の就業行動においては僅かではあるが夫の所得の低下は
妻の就業を促進する効果を持っていること、そして非労働力化行動よりも労働力化行動に
おいてやや顕著であることがわかった。
以上の分析結果は、夫の所得補填のために妻の就業行動が変化しうることを示している。
このことは、雇用機会が減る景気後退期に労働市場から退出することによって、失業率悪
化のバッファーになっていると考えられてきた有配偶女性の就業行動変化について捉え直
す必要性を示唆している。
より効率的なジョブサーチや女性の働きやすい社会環境・職場環境の整備によって雇用
のミスマッチを解消していくことが政策として望まれるであろう。