ディスカッションペーパー

平等化政策に関する態度の計測とモデル化:民主的な政策評価基準設定への模索

DP番号 DP-2011-001
言語 日本語のみ
発行年月 September, 2011
著者 山本 耕資・深堀 遼太郎
JELコード
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要旨

一般の人々の、再分配を中心とする平等化政策に関する態度は、しばしば特定
の文言で表現される政策に「賛成するか否か」で計測されてきたが、本稿では、
より具体的で客観的な指標で平等化政策志向を計測する方法を提案する。ここ
で提案される指標は、一般の人々の態度を示すものでありながら、同時に、具
体的な政策論議と直接的に関連付けることが可能である。この意味で、本稿は
民主的に正当化可能な政策評価基準を見出そうとするものであると言える。
「再分配に賛成か反対か」という二項対立ではなく、「程度問題」に落とし込
んだ、ある意味では妥協可能性の高い、政策上の議論における民主的な裏打ち
となるような「程度」として、本稿は一般の人々の態度を指標化しようとする。
本稿では、より具体的には、各回答者が望む、平等化政策実施後の所得分布の
情報から、Gini 許容度、政策的相対的貧困許容度といった指標や、特定の社会
厚生関数のパラメータを得る方法を提案する。さらに、平等化後の所得分布の
情報をもとに、「無知のベール」状況の現出などのシミュレーションを実施で
きることを示し、「もし各個人の属性が異なっていたら、合意可能性はどう変
わるか」「もし平等化がもたらす外部的な損害の程度が客観的に明らかになっ
た場合に、合意可能性はどう変わるか」といった問題へのアプローチを示す。