世帯主の就業形態と有子現役世帯の貧困の動態分析-二人親世帯と一人親世帯の比較-
DP番号
DP-2011-006
言語
日本語のみ
発行年月
March, 2012
著者
馬 欣欣
JELコード
キーワード
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要旨
本稿では、2009~2011 年日本家計パネル調査(JHPS2009~2011)を用い、子供がいる現
役世帯を分析対象として、世帯主の就業形態の違いが一時的貧困確率に与える影響、およ
び世帯主の就業形態の移行が貧困へ突入する確率、貧困から脱出する確率に与える影響に
関する実証分析を行った。主な結論は以下の通りである。第 1 に、一時的貧困確率は、一
人親世帯の方が二人親世帯よりも高い。また、二人親、一人親いずれの世帯類型において
も世帯主が正規労働者であるよりも非正規労働者であるほうが、一時的貧困確率は高い。
第 2 に、世帯主が継続正規労働者のグループよりも、非正規労働者から正規労働者へ移行
した直後のグループ、および継続非正規労働者のグループのほうが、貧困へ突入する確率
は高い。第 3 に、世帯主が継続正規労働者の場合より、正規労働者から非正規労働者へ移
行した直後のグループ、非正規労働者から無業者へ移行したグループ、および継続非正規
労働者グループのほうが、貧困から脱出する確率は低い。第 4 に、2 時点とも二人親世帯で
あるグループに比べ、2 時点とも一人親世帯であるグループで貧困に突入する確率が高く、
貧困から脱出する確率は低くなる傾向がある。第 5 に、就業形態の移行および世帯形態の
変化が貧困突入確率と貧困脱出確率に与える影響は、所得再分配政策が実施された前後に
よって異なるものの、所得再分配政策は必ずしも有子世帯に対する貧困削減の効果を持つ
とはいえない。