ディスカッションペーパー

近年の景気後退は有配偶女性の労働力化・非労働力化にどのような影響を与えているのか:子どもの人数によってどう異なるか

DP番号 DP-2011-008
言語 日本語のみ
発行年月 March, 2012
著者 深堀 遼太郎
JELコード
キーワード
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要旨

本研究では、リーマンショック以後の景気後退、雇用機会減少、賃金削減の中で有配
偶女性がどのような就業行動の動態を見せたかを、付加的労働力効果と就業意欲喪失効果
の議論に則り、夫の所得変動と雇用機会の増減によって説明を試みる。その際、特に、子
どもの数の違いが夫の所得変動の就業行動への影響に差異を生みだすのかどうか検証する。
個人の異質性と状態依存を考慮し、労働力状態にあるか否かを変量効果ダイナミックプロ
ビットモデルによって推計したところ、雇用機会の減少を通じた就業意欲喪失効果の存在
は確認できず、夫の恒常的所得の減少が新規就業(新規労働力化)を促す一方、子どもが
少ない世帯においては、変動的所得の減少によって労働市場に滞留しやすいことがわかっ
た。従って、今後日本の少子化が続けば、付加的労働力効果が強まる可能性がある。これ
は、付加的労働力効果が強まれば、政府が不況期に労働需要喚起策を講じる正当性・必要
性がこれまで以上に高まることを意味している。