ディスカッションペーパー

子どもの社会性・適応感と家庭背景―慶應子どもパネル調査2011から―

DP番号 DP-2011-009
言語 日本語のみ
発行年月 March, 2012
著者 敷島 千鶴・山下 絢・赤林 英夫
JELコード
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要旨

日本の子どもの社会性の発達と適応感 (QOL) の程度を、子どもの家庭背景であるきょう
だい構成や親の年齢、親のメンタルヘルス、ならびに社会経済的地位を構成する親の学歴、
就業、収入の各変数が、どの程度説明するかについて検討を行った。対象は全国より無作
為抽出された世帯の小中学生の子ども 660 名であり、慶應子どもパネル調査 2011 の一環と
して、親と子どもの両方から質問紙による回答を得た。重回帰分析は、子どもの問題行動
と最も強い関連を示す家庭背景は、母親のメンタルヘルスであることを明らかにした。母
親のメンタルヘルスは、情緒的不安定さ、行為問題、多動・不注意、仲間関係のもてなさ
のすべての問題行動次元と有意な負の相関関係にあった。一方、子ども自身が感じる適応
感と最も強い関連を示す家庭背景は、世帯年収ときょうだい数であった。世帯年収は、QOL
の下位次元である身体的健康感、情動的ウェルビーイング、自尊感情、友だちへの適応感、
学校への適応感とは正の相関関係に、家族への適応感とは負の相関関係にあった。きょう
だい数は、身体的健康感を除くすべての QOL 次元と負の相関関係にあった。子どもの行動
と感情の形成では、異なる家庭背景の側面が寄与することが示唆された。