ディスカッションペーパー

家庭背景が学力に与える影響とそのプロセス―階層的重回帰分析と構造方程式モデリングを用いた検討―

DP番号 DP-2011-010
言語 日本語のみ
発行年月 March, 2012
著者 篠ヶ谷 圭太・赤林 英夫
JELコード
キーワード
ダウンロード PDF
要旨

本稿では、JHPS2010、KHPS2011 に付随して行われた子ども調査のデータを用いて、親の
学歴や家計収入などの家庭背景が子どもの学力に与える影響プロセスについて検討した。
本稿が媒介変数として注目したのは、教育投資や子どもの日々の学習時間である。また、
子どもの成長に伴い、家庭背景と学力の関係は変化していく可能性が考えられるため、本
稿では小学生と中学生の差異について検討を行った。分析には階層的重回帰分析に加え、
構造方程式モデリング(Structural Equation Modeling)を用い、データとの適合度の観
点から、変数間の関係プロセスについて示唆を得た。分析の結果、親の学歴や家計収入は、
家庭内の文化的環境の整備や、課外活動への投資、子どもの学習時間を媒介して、子ども
の学力に影響していることが明らかにされた。また、小学生と中学生では、(1)父親の学歴
と学習時間の関係、(2)家計収入と子どもの学力の関係、(3)家庭外投資と学習時間の関係、
(4)家計収入と家庭内投資の関係が異なる可能性が示唆された。