ディスカッションペーパー

JCPS2012調査の概況

DP番号 DP-2012-009
言語 日本語のみ
発行年月 March, 2013
著者 敷島 千鶴
JELコード
キーワード
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要旨

「日本子どもパネル調査 (Japan Child Panel Survey: JCPS)」は、2010 年、日本家計パネ
ル調査 (JHPS)、および慶應義塾パネル調査 (KHPS) の付帯調査としてスタートした親子
パネル調査である。調査対象は、JHPS あるいは KHPS 対象者より、小学校あるいは中学
校に就学する子どもをもつ者 (親) とその子どもである。JCPS は 2012 年、JHPS 対象者
世帯から抽出した子どもに対し、第 3 回調査 (JCPS2012) を実施した。調査協力子ども人
数は 493 名、世帯単位の協力率は 57.5%、第 1 回調査 (JCPS2010) からの継続率は 70.3%
であった。JCPS2012 調査で測定した子どもの学力テストの平均値は、2010 調査、2011
調査と差がなかった。欧米の公表データとの比較から、JCPS で測定した子どもの問題行動
得点はより高いこと、向社会性得点はより低いことが示された。学年が上がるにつれ、子
どもの QOL は低下していくが、この傾向が JCPS においてより顕著であることも明らかに
された。子どもの将来の投票志向と政治や社会への関心は相関していた。JCPS2012 調査
で尋ねた子ども部屋、学習机、携帯電話の所有率は、学年と共に上昇していた。現在と出
生時の身長と体重は、大規模公的データと比較することにより統計量の代表性が確認され、
小中学生の肥満の出現率は、BMI では 1.4%、身長別標準体重に基づく計算では 6.5%であ
った。JCPS のデータセットを、JHPS、KHPS の豊富な家計情報と連結した分析を行うこ
とで、子どもの成長と家庭背景との関連を、詳細かつダイナミックにとらえていくことが
可能となるが、JCPS が抱える課題についても議論した。