ディスカッションペーパー

日本子どもパネル調査(JCPS):目的と方法

DP番号 DP2016-002
言語 日本語のみ
発行年月 May, 2016
著者 敷島 千鶴・野崎 華世・赤林 英夫
JELコード
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要旨

所得の格差の拡大と世代を通じた格差の固定化に対する懸念が広がる中、国際的には、子
どもを取り巻く家庭環境や制度政策が子どもの教育や成長に与える効果を把握し、世代間
の格差の連鎖が発生するメカニズムを明らかにするために、同じ子どもを追跡して調査す
る「パネルデータ」を構築し、広く研究に利用することが当然になってきている。「日本子
どもパネル調査 (Japan Child Panel Survey: JCPS)」は、子ども個人の観測データを豊富
な家計情報と連結することにより、子どもの成長と家庭背景との関連を、詳細かつダイナ
ミックに捉えることのできる、全国のランダムサンプルからなる我が国初めての親子パネ
ル調査である。本稿では、子どもの認知能力と非認知能力の測定方法を説明し、第 1 回調
査 (JCPS2010) から第 4 回調査 (JCPS2013) まで蓄積されたデータを用いて、尺度の信頼
性を確認した。また、世帯や親と子どもの属性、家庭背景の指標となる主な変数を紹介し、
測定方法を説明した。さらに JCPS2010、JCPS2011、JCPS2012、JCPS2013 の回収率と
継続率を求め、協力世帯の属性について検討を行った。JCPS が抱える課題についても議論
した。