結婚すると健康になるのか、それとも健康な人ほど結婚するのか
DP番号
DP2016-007
言語
日本語のみ
発行年月
February, 2017
著者
佐藤 一磨
JELコード
キーワード
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要旨
本稿の目的は、我が国の代表的なパネルデータの 1 つである『慶應義塾家計パネル調査
(KHPS)』を用い、結婚が健康に及ぼす影響を検証することである。この検証の結果、次の
5 点が明らかになった。1 点目は、分析期間中に結婚を経験したサンプルと未婚を継続した
サンプルの各健康指標の大きさを比較した結果、結婚サンプルの方が結婚以前から健康で
あることがわかった。この結果から、もともと健康な場合ほど結婚しやすい傾向にあると言
える。2 点目は、Entropy Balancing によって各個人属性をコントロールし、結婚前後の健
康指標の変化を検証した結果、主観的健康度、主観的身体指標、主観的精神指標が改善する
ことがわかった。3 点目は、結婚による健康改善効果の背景を分析した結果、結婚後に喫煙
本数の減少といった生活習慣の改善が見られることがわかった。4 点目は、結婚の健康改善
効果の男女差について分析した結果、男性の方が女性よりも多くの健康指標で改善するこ
とがわかった。5 点目は、男女別に結婚による健康改善効果の背景を分析した結果、男性で
は精神面での健康の改善が主な原因であり、女性では喫煙の減少といった生活習慣の改善
が主な原因であることがわかった。