ディスカッションペーパー

健康ポイント制度における利用者負担の可能性 ―コンジョイント分析による検証―

DP番号 DP-2016-010
言語 日本語のみ
発行年月 March, 2017
著者 上村 一樹・駒村 康平・久野 譜也
JELコード I12, I18, I19
キーワード 健康ポイント制度、運動習慣、Mixed Logit(混合ロジット)
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要旨

 2016年5月、厚生労働省が『個人の予防・健康づくりに向けたインセンティブを提供する取組に係るガイドライン』を発表したことから、今後、自治体や健康保険組合が主体となり、インセンティブによる健康づくりへの取り組み(健康ポイント制度、ヘルスケアポイントなどと呼ばれる)が益々盛んになると考えられる。昨今の自治体財政は厳しいことから、健康ポイント制度を無理なく普及させるためには、参加者増加と相反しない範囲で、適切な参加者負担を求めることも必要となると予想される。
 そこで、本稿では、仮想健康ポイント制度に関するコンジョイント分析により、健康ポイント制度における参加者負担の可能性を検討した。
 その結果、参加料を無料から年額1000円にした場合の参加率への影響は、年額1000円から年額5000円に引き上げた場合の影響よりも大きかった。歩数計の代金についても同様の傾向があり、無料から半額負担にした場合の影響は、半額負担から全額負担にした場合の影響よりも大きかった。したがって、参加者負担のあり方について考える際には、無料かそうでないかが何より重要であり、一旦有料になってしまうと、そこからの参加者負担引き上げの影響は相対的に小さいといえる。