ディスカッションペーパー

正規非正規の職種転換と雇用形態転換

DP番号 DP2016-012
言語 日本語のみ
発行年月 March, 2017
著者 小林 徹・山本 勲・佐藤 一磨
JELコード J4, J62
キーワード 非正規労働市場、職種変化
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要旨

 本稿では、ルーチン業務職種の減少と抽象やマニュアル業務職種の増加といった技術偏向型技術進歩による職種変化が、日本でも欧米同様に確認されるかどうかについて、正規・非正規別の分析を行った。分析の結果、ルーチン業務に従事していた者については、正規から非正規への転換者でマニュアル業務への変化が多く、ルーチンからマニュアルへの移動という欧米と同様の転換は非正規労働市場ほど発生していた。しかしながら、正規・非正規市場ともに他業務からルーチンへの参入が一定程度確認され、全体としてもルーチンの減少は確認されなかった。
 加えて、技術偏向型技術進歩によって減少する業務に就いている非正規雇用者は、正規雇用への転換自体が難しくなっているかどうかを検討するため、企業内外の経路を考慮した正規転換に関する分析を行った。  分析の結果、欧米で需要減が指摘されるルーチン業務についていた非正規雇用者で正規転換が少なくなっている様子は確認されなかった。また、技術偏向型技術進歩で需要増が指摘される抽象業務についていた正規雇用者では正規転換が多くなっていた。一方で、抽象業務の増加や高齢化の影響で需要増が指摘されるマニュアル業務では正規化に繋がっている様子は見られなかった。抽象業務は高い技能が求めれるため正規市場で活用が図られ、相対的に高い技能が求められにくいマニュアル業務の活用は非正規労働市場で進んでいることが考えられる。