ディスカッションペーパー

転職と企業内異動による職種転換-発生頻度と発生時の転換内容の違い

DP番号 DP2016-013
言語 日本語のみ
発行年月 March, 2017
著者 小林 徹
JELコード J62, J63
キーワード 転職、職種変化
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要旨

 本稿では、「21世紀成年者縦断調査」のパネルデータを用いて、職種変化の発生が年間どれだけ発生しているのか、またその内訳が企業内異動と転職とでどれだけのボリュームかを確認した。結果、平均30歳という若年データによるためか当該データでは毎年25%程度、雇用者の職種転換が見られた。非転職者と転職者とでは次期の職種転換の発生率は転職者のほうが大きいものの、転職者の規模が非常に小さいために、発生する職種転換者の85%は同企業内の異動を通じた職種転換者で占められていた。日本での職種転換は、内部労働市場が主たる発生場となっている。
 また、職種によって同職種に留まる確率や企業内職種転換確率、転職による職種転換の発生確率が異なるかどうかを確認するために、多項プロビット分析を行った。分析の結果、専門・技術職に従事していた者は他職種への転換が少なく、生産工程・労務職も同様の傾向が確認された。事務職や販売・営業職、サービス職に従事していた者は、部門を越えたジョブ・ローテーションの無い現場に張り付いた雇用管理がされているためか、転職以外では職種転換が発生しにくくなっていた。
 最後に、職種転換者について転換前後の職種ルートを確認したところ、内部労働市場を通じた企業内による転換者で、生産工程・労務職から専門・技術職への転換が多くなっていた。生産工程・労務職では内部・外部労働市場ともに職種転換が生じにくいものの、発生した場合においては内部労働市場を通じた転換ほど需要が高まりつつも賃金が下がりにくいと考えられる非定型的な業務へと移りやすい傾向が確認された。