住宅相続と金銭的援助の互恵的依存関係
DP番号
DP2018-001
言語
英語のみ
発行年月
February, 2019
著者
岩田真一郎・行武憲史
JELコード
D10; J14; R21
キーワード
世代間移転;遺産動機;住宅;暗黙的年金契約;日本
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要旨
日本では、高齢者が子に住宅を遺産として残し、その礼として生前に子から金銭的な援助を受け取るという互恵的依存関係の存在がしばしば指摘される。高齢者が世代間住宅資産移転を通じて、子から金銭的な支援を受け取り、生活を維持しようとする試みは、親子間リバース・モーゲージが暗黙的に契約されていることを意味すると考えられる。そこで本稿では、この親子間リバース・モーゲージの存在を理論的・実証的に検証した。シュタッケルベルグ・モデルを応用した理論分析から、子から親への援助額は親が決定する住宅相続確率の増加関数であることを導いた。そして、「日本家計パネル調査」を用いた実証分析の結果から、相続確率が上昇すると、援助額が増加することを確認した。これは、親子間リバース・モーゲージの存在を支持する結果である。しかし、十分な援助額を引き出すには、親は子に対して高い相続期待を持たせる必要があることも同時に確認した。