母親の時間不足と子どもの食生活
DP番号
DP2019-004
言語
日本語のみ
発行年月
March, 2020
著者
石井加代子
JELコード
I31, J22
キーワード
時間不足;食生活;母親の就業;食の外部化
ダウンロード
PDF
要旨
本論文では、慶應義塾大学『日本家計パネル調査(Japan Household Panel Survey)』の個票データおよび、厚生労働省『平成27年度乳幼児栄養調査』の個票データを活用して、母親が就業し家事に配分できる時間が短くなることが、子どもの食生活に与える影響について分析を行った。先行研究の仮説を参考に、母親の就業が子どもの食生活に与える影響について、時間のみならず、所得、食に関する人的資本(健康志向や食事の準備にかかるマネジメント能力)、公的制度(給食サービス)、世帯内での家事の分担(夫の家事参加や祖父母との同居)に焦点を当てて分析を行った。 分析の結果、母親の正規就業や長時間労働は家事に配分できる時間を短くし、自炊の頻度を下げ、子どもの食生活にマイナスの影響を与えうることが分かった。しかしながら、少なくとも未就学児においては、母親の就業により、保育所に通い、給食を通じて昼間に栄養バランスのよい食事をとることで、正規就業している場合の方がむしろ食生活がよいことが分かった。また、母親の最終学歴や、祖父母からの協力を得られるか否かにより、子どもの食生活に有意な差があることが明らかになった。こうした格差の是正にも給食といった公的制度が有効であることが考えれる。