ディスカッションペーパー

夫婦の家事育児分担を踏まえた時間貧困分析

DP番号 DP2020-003
言語 日本語のみ
発行年月 July, 2020
著者 石井加代子、浦川邦夫
JELコード J22; I31
キーワード 時間貧困;時間配分;ワークライフバランス
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要旨

本稿では、Vickery(1977)をはじめとした所得と時間の二次元的貧困の分析フレームワークを応用し、家事や育児における夫婦の役割分担を考慮して、共働き世帯における女性の時間貧困の現状について明らかにすることを目的とする。具体的には、従来の時間貧困分析が世帯を経済主体の単位として、夫婦の生活時間を合算して分析していたのに対し、本稿では、個人を単位として、夫と妻それぞれの労働時間や家事育児時間を考慮した分析フレームワークにアレンジする。所得・時間の二次元の貧困を個人単位で分析するというフレームワークを通して、男性の家事・育児参加の低さが、共働き世帯の女性の生活時間を逼迫させ、夫婦個々人の時間貧困のリスクに格差をもたらし、結果として家計支出に非効率をもたらすことを明らかにする。分析結果を通じて、女性活躍を推進するうえで、女性にとって仕事と家事・育児が両立しやすい環境を整備することに加え、男性の家事・育児参加を促すことで、働く女性の時間にまつわるウェルビーイングを高め、健全な家計を維持することが重要である点を指摘する。