ディスカッションペーパー

【第2回学生論文コンテストJHPS AWARD受賞論文:優秀賞】
父親の育児参加・継続要因と母親の就業行動に与える影響分析

DP番号 DP2020-008
言語 日本語のみ
発行年月 March, 2021
著者 坂元しえる、山口かな恵
JELコード J13
キーワード イクメン、父親の育児参加、育児継続、母親の就業行動、同時決定バイアス
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要旨

近年「イクメン」という言葉が注目されているように、わが国では父親の育児参加の必要性が認識されてきている。父親の育児参加規定要因を明らかにした研究、および父親の育児参加が母親の就業行動に与える影響を明らかにした先行研究は存在するが、父親の育児参加の継続性に着目した研究は筆者らの知る限り存在しない。本稿では「日本家計パネル調査(JHPS/KHPS)」を用いて、父親の育児参加および継続参加の規定要因を分析するとともに、母親の就業行動に与える影響について分析を行った。前者に関しては(1)時間制約仮説、(2)育児ニーズ仮説、(3)相対的資源仮説、(4)代替的資源仮説、(5)会社の制度の5つの仮説に基づき、変量効果モデル、固定効果モデル、ワイブル分布を仮定した分布ハザードモデルによって父親の育児参加・継続に共通する要因や相違のある要因を分析した。その結果、子どもの末子年齢ごとに父親の育児参加・継続を促進または抑制する要因は異なることが明らかになった。そして後者に関しては、父親の育児参加と母親の就業行動の間に存在する同時決定バイアスを考慮し、父親の職位を操作変数とする変量効果操作変数法を用いて分析を行った。その結果、母親の年齢や就業選択と雇用形態選択によって父親の育児参加・継続がもたらす影響は異なることが明らかとなり、それぞれに応じて必要とされる父親の育児参加の在り方が違うとの示唆が得られた。