ディスカッションペーパー

【JHPS第二世代付帯調査による実証研究シリーズ】
家計資産の世代間相関:JHPS第二世代付帯調査を用いた実証分析

DP番号 DP2020-011
言語 日本語・英語
発行年月 March, 2021
著者 直井道生、瀬古美喜、隅田和人、石野卓也
JELコード D31; D64; J62
キーワード 家計資産; 世代間相関; 贈与・相続; 親子調査
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要旨

本論文では、日本家計パネル調査および第二世代付帯調査を利用して、家計資産の世代間相関の現状とその規定要因を検討した。資産保有の世代間相関の推定結果からは、(1) 子世代の金融資産保有額に対する親世代の資産保有額の限界効果は約0.10~0.13であること、(2) 家計資産の世代間相関は子世代の学歴や所得を統制することで小さくなるが、その度合いは米国の先行研究などと比べて小さいこと、(3) 親世代の資産が子世代の住宅所有におよぼす影響は、過去および将来の直接的な資産移転によって説明される部分が大きいこと、などが明らかになった。一方、将来の相続・贈与と子世代の経済状態の関連を検討した分析からは、(1) 将来の金融資産の相続・贈与は、調査時点における親世代の資産保有状況と強い正の相関を持つ一方、子世代の経済状態とはおおむね無関係であること、(2) 将来の住宅相続・贈与については、調査時点における親世代の資産保有状況と子世代の経済状態の双方に依存し、世帯年収や学歴が低い子世代ほど、親の資産保有の増加に伴って、将来の住宅相続を通じた恩恵を受ける傾向にあること、などが明らかになった。