ディスカッションペーパー

認可保育所と学童保育が母親の就業に与える影響

DP番号 DP2021-006
言語 日本語のみ
発行年月 September, 2021
著者 中山真緒
JELコード J13; J18; J21
キーワード 学童保育; 認可保育所; 母親の就業
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要旨

母親の子育てと就業の両立を支援するためには、出産後の職場復帰に加え、長期的な就業継続のためのサポートが必要となる。本稿では、これまでの保育サービスの研究において分析の中心であった認可保育所に加え、近年「小一の壁」と呼ばれ問題視される小学校入学後の保育環境と母親の就業に注目し、学童保育がもつ就業促進効果について検証する。 「消費生活に関するパネル調査」を用いた実証分析の結果、第一に認可保育所の利用は母親の就業確率や正規雇用確率を高め、その効果は特に出産前に就業していた母親に対して大きいことが分かる。第二に、認可保育所を利用していたことは小学校低学年時に学童保育を利用する確率を高めるが、その影響は核家族に対してのみ観察される。第三に、学童保育の利用は母親の就業確率には有意な影響を与えないものの、正規雇用確率および労働時間に対して有意に正の影響を持つ。また、小学校入学前から就業していた母親に対して影響が大きいことから、学童保育の利用は小学校入学以降に新たに働き始めることよりも、就業継続を促す効果が大きいことが示唆される。