ディスカッションペーパー

コロナ禍における低所得層の経済的脆弱性:JHPSコロナ特別調査に基づく分析

DP番号 DP2021-009
言語 日本語のみ
発行年月 November, 2021
著者 石井加代子、山田篤裕
JELコード I30
キーワード 新型コロナウイルス感染症; 貧困; 脆弱性
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要旨

「コロナ禍による所得・収入減少で生活水準が大幅に低下することを余儀なくされた」を「経済的脆弱性」の主観的指標と捉え、その指標と相関の高い世帯属性等、五点を明らかにした。第一に世帯主が正規雇用である場合と比較し自営業や非正規雇用である場合、また低所得層ほど、大幅な生活水準低下リスクは高い。第二に現役層のみならず、高齢層でも大幅な生活水準低下の主な要因は失職であった。第三に高齢層と異なり、現役の低所得層では貯蓄が大幅な生活水準低下を防ぐ効果を確認できなかった。第四に大幅な生活水準の低下を余儀なくされた属性と、公的経済支援を申請した属性とは、持ち家を除けば重なり、支援の充分性・利用のしやすさは別として、支援策の申請者は経済的に脆弱な属性集団と重なる。第五に現役の低所得層で社会保険料減免や就学援助・修学支援新制度の申請率は10%以上ある一方、住宅確保給付金の申請率は生活保護より低く、1%に過ぎなかった。