【第3回学生論文コンテストJHPS AWARD受賞論文:最優秀賞】
最低賃金が請負業主の賃金分布に及ぼす影響について
DP番号
DP2021-011
言語
日本語のみ
発行年月
March, 2022
著者
宮治奨
JELコード
J46; J48; D04
キーワード
最低賃金; 請負; 賃金分布
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要旨
近年、日本をはじめとする先進国では請負という形で最低賃金が適用されない主体が増加傾向にある。本論文では、2009年から2019年の「日本家計パネル調査」(JHPS/KHPS)を用いて2007年以降の地域別最低賃金の大幅な上昇が請負の賃金に与えた影響を分析した。固定効果推定による分析の結果、地域別最低賃金の引き上げは請負全体、女性請負の賃金に対しては影響を及ぼしていないが、男性請負に対しては統計的に有意に正の影響を及ぼしていることが明らかになった。先進国、とりわけ日本においては地域別最低賃金が、それが適用されない主体に与える影響には男女差が存在する可能性が示唆された。また、仕事の内容により条件づけた男性請負のサンプルの分析からは、地域別最低賃金の引上げが製造業等に従事する男性請負の賃金にとりわけ強く正の影響を及ぼしていることが明らかになった。地域別最低賃金の影響に男女差が存在する背景には、最低賃金の引き上げに伴い企業が社会保険料のコストカットの恩恵が大きい請負への需要を増大させるというメカニズムが働いている可能性がある。