独居未婚女性と親と同居する未婚女性のどちらの幸福度が高いのか
DP番号
DP2022-005
言語
日本語のみ
発行年月
February, 2023
著者
佐藤一磨
JELコード
I31; J12
キーワード
未婚女性; 幸福度; 親との同居; 独居
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要旨
我が国では未婚女性が持続的に増加する傾向にあり、これに伴って親と同居する未婚女性の割合が増えている。このような居住形態の変化が未婚女性の主観的厚生に及ぼす影響に関してはほぼ研究がなく、その実態は明らかになっていない。そこで、本研究では『消費生活に関するパネル調査(JPSC)』を用い、未婚女性の主観的厚生と居住形態に焦点を当てた分析を行った。Fixed Effect Modelによる分析の結果、次の4点が明らかになった。1点目は、未婚女性の幸福度と居住状態の関係が年齢層によって変化していた。20代と30代では独居の方が親との同居よりも幸福度が高かった。しかし、40歳以降では独居の影響が逆転し、独居の場合ほど幸福度が低下していた。2点目は、独居の影響が親の居住地との距離で違いがあるのかを検証した結果、40歳以上の未婚女性の場合、同一市町村内に親が居住していると、幸福度へのマイナスの影響は観察されなかった。しかし、遠方に住む場合、40歳以上の未婚女性の幸福度は低下していた。3点目は、未婚女性のメンタルヘルスの決定要因について分析した結果、40歳以降の独居未婚女性ほど、生活の煩わしさ、気分の落ち込み、集中力の低下、孤独感といったメンタルヘルスの悪化が観察された。4点目は、既婚女性に分析対象を限定し、居住状態と幸福度の関係を分析した結果、親と夫婦と子の三世代同居の場合、既婚女性の幸福度が低下する傾向にあった。未婚女性では40歳前後で親との同居による影響が変化していたが、既婚女性では同じような傾向は確認できなかった。