子どもの有無による幸福度の差は2000~2018年に拡大したのか
DP番号
DP2022-006
言語
日本語のみ
発行年月
March, 2023
著者
佐藤一磨
JELコード
I31
キーワード
幸福度; タイムトレンド; Japanese General Social Survey(JGSS)
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要旨
これまで数多くの研究が子どもと主観的厚生の関係を検証し、おおむね子どもを持つ人ほど主観的厚生が低下することを明らかにしている。しかし、これらの研究の多くは欧米諸国のデータを使用しており、アジア地域に注目した研究は限られている。また、子どもの及ぼす影響が経年的にどう変化したのかという点に関しては実証研究が少なく、その実態が明らかになっていない。そこで、本研究ではJapanese General Social Survey(JGSS)を用い、2000年から2018年までの子どもを持つ人と持たない人の主観的厚生のタイムトレンドの変化を検証した。本研究の分析の結果、次の3点が明らかになった。1点目は、有配偶女性の場合、全年齢層では子どもの有無による幸福度のタイムトレンドの差に変化は見られなかったが、50歳以下では子持ち有配偶女性の幸福度のタイムトレンドが相対的に低下していた。この背景には、子どものいない有配偶女性の幸福度の上昇が影響していた。有配偶男性の場合、いずれの年齢層でも子どもの有無によって幸福度のタイムトレンドの差に変化が見られなかった。2点目は、働く有配偶女性では子どもの有無によって幸福度のタイムトレンドに変化はなかったが、50歳以下の非就業の子持ち有配偶女性の幸福度のタイムトレンドが相対的に低下していた。3点目は、子どもの各種満足度への影響を検証した結果、有配偶男女の両方において、ほとんどの各種満足度のタイムトレンドの差が子どもの有無によって変化していなかった。