ディスカッションペーパー

コロナ禍における所得格差とウェルビーイング格差の動向

DP番号 DP2023-003
言語 英語のみ
発行年月 March, 2024
著者 石井加代子、山本勲
JELコード D31; I31; I14
キーワード 格差; ウェルビーイング; COVID-19
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要旨

本稿は、日本家計パネル調査を用いて、新型コロナウイルス感染症が所得格差とウェルビーイング格差にもたらした中期的な影響について分析をした。複数の統計によりコロナ禍前後の世帯所得のジニ係数を計算したところ、コロナ禍において所得格差の拡大傾向は確認されなかった。これについて、世帯の所得動態を確認したところ、コロナ禍においても累進的な所得増加が見られ、こうした動態が不平等の拡大を妨げたと考えられる。一方、メンタルヘルス、睡眠時間、生活満足度、健康満足度、仕事満足度、ワークエンゲイジメントの多側面からコロナ禍におけるウェルビーイングの変動と格差の動向を確認したところ、コロナ禍で特に低所得層ほどウェルビーイングが悪化していることが分かった。さらに、高所得層ではコロナ禍で在宅勤務といった柔軟な働き方の恩恵を受けたことでウェルビーイングが改善傾向にあり、総じて、所得格差に関連した形でウェルビーイング格差が拡大したことが明らかになった。