【日英共同研究による実証研究シリーズ】
コロナウィルスは、日本の独居高齢者の幸福度にどのような影響を与えたのか?(2024年11月30日改訂)
DP番号
DP2023-004
言語
英語のみ
発行年月
March, 2024(November, 2024改訂)
著者
佐藤一磨、深堀遼太郎、樋口美雄
JELコード
D1; I31
キーワード
独居; 幸福度; unconditional quantile regression with fixed effects
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要旨
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大は、私たちの日常生活に深刻な悪影響を及ぼしています。外出制限により友人や家族と会う機会が減るため、高齢者、特に一人暮らしの高齢者への影響は大きいと考えられます。しかし、パンデミック中に高齢者が生活環境に与える影響について調査した研究は限られています。そこで本研究では、世界初の超高齢化社会である日本のデータを用いて、COVID-19パンデミック前後の生活環境と高齢者の幸福度(幸福度で測定)との関連性を検証します。個人固定効果をコントロールした差分の差分推定により、3つの知見が得られました。第一に、COVID-19パンデミック中に一人暮らしの高齢男性の幸福度は低下しましたが、高齢女性では一人暮らしによる有意な影響は見られませんでした。第二に、分位回帰モデルを使用して、一人暮らしの影響が幸福度分布に基づいてどのように変化するかを調べました。幸福度の低下は、幸福度の高い高齢男性で最も顕著でしたが、高齢女性では分布のどの分位にも有意な影響は見られませんでした。第三に、詳細な生活環境の変数を使用した場合、一人暮らしの男性の幸福度のみが悪化しました。全体的に、一人暮らしの影響には有意な性差が見られました。