ディスカッションペーパー

【第5回学生論文コンテストJHPS AWARD受賞論文:審査員賞】
寝だめ時間に関する実証分析

DP番号 DP2023-007
言語 日本語のみ
発行年月 March, 2024
著者 星出真矢
JELコード I15; I31
キーワード 寝だめ; 社会的時差ボケ; 働き方; ウェルビーイング; パネルデータ分析; 固定効果モデル; 変量効果モデル
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要旨

日本人の睡眠時間は減少傾向にあり、適切な睡眠時間が確保できていない。その要因としては長い労働時間や柔軟性の低い労働形態が挙げられ、平日の不足した睡眠時間を休日の睡眠で取り戻す「寝だめ」が起きやすいことが考えられる。寝だめは先行研究では過体重リスクの低下などへの寄与や、憂鬱感との関連などにも言及があり、労働環境に多くの課題がある日本において、生活や労働の質を高めていくための重要検討事項である。そこで本稿では、就業者の寝だめ時間の規定要因とそれがウェルビーイングに与える影響について、「日本家計パネル調査(JHPS/KHPS)」を用いて実証分析した。結果、寝だめ時間の規定要因として、副業や管理職、というようなタスクの増加につながる職場環境が示された。また、ワークエンゲージメント、幸福感、生活満足度に対して適度な寝だめは過度に長い寝だめよりも正の影響を与えることが示された。以上より、寝だめ時間が長い人ほどウェルビーイングが悪い傾向があることが一部示された。理由としては、起床時間帯のずれによって社会的時差ボケが生じている可能性が推察され、その可能性を考慮して適度な寝だめをとることが肝要である。