ディスカッションペーパー

【日英共同研究による実証研究シリーズ】
外国人労働者の経済成長への影響:日本のケース

DP番号 DP2024-002
言語 英語のみ
発行年月 November, 2024
著者 齋藤潤
JELコード J11; J61; O43
キーワード 外国人労働者; 経済的影響; 経済成長; トランスログ生産関数; 雇用システム
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要旨

本論文の目的は、外国人労働者が日本の経済成長に与える影響を分析することにある。このため、都道府県別のパネルデータを基にトランスログ生産関数を推計し、外国人労働者が県内総生産に及ぼす影響を、生産要素としての影響と、全要素生産性への影響に分けて求めた。この結果、外国人労働者、特に熟練外国人労働者が日本人労働者とは別個の生産要素として県内総生産に寄与しているとの結果を得た。しかし、同時に、外国人労働者だけでなく日本人労働者についても、県別労働者数の平均値においては県内総生産に対する弾力性がマイナスとなっていることも分かった。また、外国人労働者、特に非熟練外国人労働者が全要素生産性に及ぼす影響についても、それがマイナスであるとの結果を得た。こうした結果は、例えばPeri (2012)が米国について分析し、いずれにおいてもプラスの影響を検出したのとは大きく異なるものである。その理由としては、日本では企業間の労働移動が限定的であるなど、現在の雇用システムをはじめとする制度的な枠組みが影響している可能性がある。