【日英共同研究による実証研究シリーズ】
新型コロナパンデミックは日本のグローバル・バリューチェーンに変化をもたらしたか?
DP番号
DP2024-003
言語
英語のみ
発行年月
November, 2024
著者
齋藤潤
JELコード
C67; F14; F61
キーワード
グローバル・バリューチェーン; 国際産業連関表; 投入係数; RAS法; 新型コロナパンデミック
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要旨
本論文の目的は、新型コロナパンデミックによって、日本のグローバル・バリュー・チェーン(GVC)にどのような変化がもたらされたかを分析することにある。このリサーチ・クエスチョンに応えるために、アジア開発銀行が公表している国際産業連関表(MRIO)にRAS法を適用し、投入係数と産出係数の変化を「経済誘因効果」によるものと「政策誘導効果」によるものに分解した。日本の電気機器産業と輸送機器産業について、投入係数の変化を分析した結果を見ると、新型コロナパンデミックによって国内回帰が進んだということはなく、むしろアウトソーシングが進んでおり、それには「経済誘因効果」と「政策誘導効果」の双方が寄与していることが分かった。また、産出係数の変化の分析結果を見ると、電気機器産業では国内に代わって海外への中間財販売が増加しているのに対して、輸送機器産業では国内や中国への中間財販売が減少しており、前者では「政策誘導効果」が、後者では「経済誘因効果」が大きく影響していることが分かった。こうした分析を通して、国際産業連関表にRAS法を適用することがGVC研究に有用であることも確認できた。