ディスカッションペーパー

タバコ価格引上げと卒煙行動:JHPS2010の卒煙価格調査の有用性の検証

DP番号 DP2024-006
言語 日本語のみ
発行年月 December, 2024
著者 河越正明、高良真人、伊藤由樹子
JELコード C83; L66
キーワード 喫煙; 卒煙価格; 予測; 計測誤差; ニコチン依存
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要旨

本稿はJHPS2010の喫煙に関する質問「幾らになったらやめようと思いますか」に対する875人の回答(卒煙価格)が、その後タバコ価格が上昇する中で実際にどのようにやめたか(卒煙行動)とどの程度整合するのか検討した。2020年までの10年間を追跡調査すると、JHPS2010の卒煙価格と整合的な行動は各年1~2割の者しか取っていなかった。調査後4時点(2011, 13, 15, 20年)の卒煙行動を予測できるか計量分析を行っても、卒煙価格は有意な説明力を持たない一方、2009年時点の喫煙の有無や2010年時点の喫煙本数は一定の説明力を有している。これら2つに比べて卒煙価格の説明力が劣る原因として、自己申告に伴う計測誤差が考えられる。具体的には、回答者がニコチン依存度の程度に応じた卒煙価格を申告していない可能性があり、こうした点の改善が調査の有用性向上のために必要であろう。