ディスカッションペーパー

【第6回学生論文コンテストJHPS AWARD受賞論文:優秀賞】
同一労働同一賃金はパート・有期・派遣労働者の待遇を改善したか?

DP番号 DP2024-008
言語 日本語のみ
発行年月 March, 2025
著者 與那覇優棋
JELコード J31; J38
キーワード 同一労働同一賃金; 働き方改革; パート・有期法; 改正派遣法; 雇用形態間格差; DID分析; Oaxaca分解; CREモデル; IPW; Heckmanの2段階推定
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要旨

本研究では、2020年(中小企業は2021年)に施行された「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パート・有期法)」、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(改正派遣法)」がパート・有期・派遣労働者の賃金や賞与、有給休暇に与えた影響を、『日本家計パネル調査』を利用して検証した。従事しているタスクや仕事の無限定性、固有効果をコントロールしつつ、大企業と中小企業の適法タイミングのラグを利用してDID分析を行った結果、月給制の労働者には最大で18.5%の有意な増額を確認した。また、パート・有期・派遣労働者と無期・フルタイム労働者間の待遇格差を、2020年を基準として毎年の変動をOaxaca分解したところ、2021年は賞与の適用率、支給額および有休付与日数格差とその評価の差が有意に縮小したことが明らかになった。また、補論にて同一労働同一賃金の全面適用の効果の追加検証を行ったが、有意な政策効果は認められなかった。月給や賞与、有休付与日数に対する効果は一部確認できたものの、時間あたり賃金や有給休暇取得に対する政策効果は一貫して確認できなかった。