引退は健康行動を変えるか
DP番号
DP2025-002
言語
英語のみ
発行年月
August, 2025
著者
梶谷真也、マッケンジー コリン、坂田圭
JELコード
I12; J25
キーワード
引退; 健康行動; 飲酒摂取量; タバコ消費量; 運動
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要旨
この論文の目的は日本人男性の引退が健康行動や健康行動に対する意識(心がけ)にどのような影響を与えるかを検討することである。飲酒、喫煙、運動という健康行動が調べる対象となっている。この論文では、健康行動とそれに対する意識(心がけ)を説明する回帰モデルを推計するために、「中高年者横断調査」の第1波から第15波までの個票データを利用している。引退と世帯所得の内生性を配慮するために、日本の年金制度の年金受給年齢から複数の操作変数を作成し、モデルを操作変数法で推定する。時間不変の観察されない異質性を考慮するために、固定効果モデルを利用している。分析の結果、引退はお酒をのみすぎないように又はタバコを吸い過ぎないように心掛けているかどうかというダミー変数に全く影響がない一方、適度な運動をするように心掛けているかどうかというダミー変数に正の影響を与える。また、引退は適度なレベルを超える飲酒(純アルコール1日20g以上)確率や喫煙確率・喫煙本数を減らすのに対して、適度な運動を行う確率を高める。最後に、世帯の所得は健康行動にほとんど影響を与えないことが観察される。