ディスカッションペーパー

【JHPS第二世代付帯調査による実証研究シリーズ】
日本における健康の世代間移転 ― JHPS第二世代附帯調査を用いた検証 ―

DP番号 DP2020-012
言語 日本語のみ
発行年月 March, 2021
著者 石井加代子、山本勲
JELコード I14; I3; J62
キーワード 世代間移転; 世代間弾力性; 健康; 格差; パネルデータ
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要旨

本稿では、親と成人した子に対して直接調査した二世代間の家計パネル調査の個票データを用いて、親子間の健康状態の相関を検証する。社会・経済的格差の世代間連鎖への関心が高まるなか、健康に関する親子間の相関については、日本において分析の目的を満たすデータが存在しなかったことを理由に、これまで先行研究はほとんどない。本稿では、「日本家計パネル調査(JHPS)」と、JHPS対象者の成人の子どもを対象に実施した「JHPS第二世代付帯調査(JHPS-G2)」を用いて、親と成人した子の間での恒常的な健康状態の順位相関を推計した。分析の結果、親子間で健康スコア順位に統計的に有意な正の相関があることが確認された。具体的な相関係数としては、父親と子の間で0.19、母親と子の間で0.12、両親の平均と子の間で0.17となった。こうした健康スコア順位の相関係数は、先行研究で示された日本の親子間の所得の相関係数よりも低いほか、アメリカやOECD諸国での親子間の健康の相関係数の推計例と比べても若干低いことが示された。また、属性別に親子間の健康順位の相関を確認したところ、父親が大卒以上の場合、そうでない場合と比較して、親子間の健康状態の相関が大きいことも明らかとなった。