【第6回学生論文コンテストJHPS AWARD受賞論文:最優秀賞】
COVID-19に伴う追加的な家事・育児負担が日本の共働き世帯の生活や働き方に与えた影響
DP番号
DP2024-007
言語
日本語のみ
発行年月
March, 2025
著者
山本紗英
JELコード
D13; J13; J16
キーワード
COVID-19; 家事; 育児; Matching DID; 労働供給; ジェンダー格差
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要旨
COVID-19 は、現代社会において未曾有の影響をもたらした出来事である。外出自粛、学校閉鎖、企業の休業などが要請され、人々の日常生活や働き方に大きな変化をもたらした。このような社会変化の影響は、男女間で顕著な差異を示し、特に雇用面では男性と比較して女性の方が深刻な影響を受けたことが明らかにされてきた。本研究では、特に小学生以下の子どもを持つ世帯と持たない世帯についてMatching DIDを用い、子供の有無による影響の違いを分析した。その結果、女性の家事・育児時間の大幅な増加と労働力参加率の低下、そして休職率の上昇を確認できた。一方でこのような結果は男性には見られなかった。これは、パンデミック下での休校や登園自粛による負担が女性に偏った結果、女性の労働力供給が抑制されたことを示唆するとともに、労働市場からの退出は女性の再参入に対して持続的な障壁として作用する可能性を示している。この結果を踏まえ、緊急時における保育・教育サービスの持続的な提供体制の構築や、ジェンダーバイアスを解消するための政策的取り組みが不可欠である。